提言・要望

緊急提言―国際競争を勝ち抜く社会資本整備の実現に向けて―

 周知のとおり、現在、国会において、道路特定財源に係る暫定税率の存否が論議の焦点となっている。以下に述べるとおり、わが国をとりまく諸情勢をみれば、国民生活と企業活動にとって、将来展望に立った社会資本の整備による国土形成は、依然、喫緊の課題であり同時に、国家の経済戦略に直結する課題でもある。

 社会資本整備の一翼を担う道路特定財源を例にとれば、遺憾ながら、いまだに近視眼的な議論しか交わされておらず、経済団体として、われわれは、このような事態を深く憂慮するものである。

  1. 日本経済は、バブル景気から「失われた10年」を経て、緩やかながらも回復していた。しかし、この間、米国、EU諸国は堅調な経済成長を遂げる一方、中国をはじめとするBRICs諸国では、急速な経済成長を実現した。この結果、日本の国際的地位の相対的な低下がもたらされたことに加え、昨年来の大幅な原油高とサブプライムローン問題、そして年初からの日本株の暴落など、新たな懸念材料が生れている。今や、わが国は、自らの国際的地位の低下に歯止めがかけられるかどうか、正念場に立たされている。
  2. 一方、中部地域の鉱工業生産指数や有効求人倍率は、全国平均を大きく上回っており、中部はまさに産業・経済活動において日本をリードしていると言っても過言ではない。
    2005年の万博開催を契機に、中部国際空港が開港するとともに、東海環状自動車道(東側ルート)や伊勢湾岸自動車道などが開通した。また、伊勢湾がスーパー中枢港湾に指定され、名古屋港では大水深バースの拡充が進められてきた。こうした社会資本の集中的整備がシナジー効果をもたらし、「元気な中部」を支えるとともに日本の国際競争力の強化に貢献してきたことは言うまでもない。
  3. しかしながら、ひとたび目を世界に転じると、グローバル化に対応した社会資本整備の動きは、極めて急速に進展している。わけても、中国、韓国、シンガポールなどアジア各国において、ハブ空港、ハブ港湾、道路ネットワークの整備・拡充がダイナミックに展開されている。
    他方、わが国においては、中部地域はもとより国全体として、社会資本整備は立ち遅れており、陸・海・空一体となった総合的な交通ネットワークの形成は急務である。このままでは、わが国は社会資本整備の遅れから、再び「失われた10年」を迎えかねない。

 わが国がグローバルな競争の下で勝ち残り、国際社会において確固たる地位を占めてゆくためにも、今、必要な財源を確保し、早期に社会資本整備を完結すべきであることを、われわれは強く訴えたい。長期的展望に立った決断こそ、第二の「失われた10年」を回避する最善の策である。

平成20年3月

名古屋商工会議所    会頭 岡田 邦彦
社団法人中部経済連合会    会長 川口 文夫
中部経済同友会 代表幹事 岩崎   
愛知県経営者協会    会長 岡部  弘 


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