提言・要望

新内閣に望む

わが国の景気は、米国の金融危機に端を発した未曾有の経済不況から、各種の緊急経済政策が効を奏し、ここにきて、ようやく持ち直しの動きが見られるようになった。しかしながら、その一方で、ギリシャの財政問題を機に国際金融市場が再び不安定さを強めていることに加えて、政策効果の一巡にともなう景気の頭打ちが懸念されるなど、依然として先行きは不透明な状態にある。

加えて、厳しさを増す財政状況と少子高齢化の進展、さらには複雑化する外交関係など政策課題が山積し、わが国の将来に対する不安感や社会を覆う閉塞感は未だに払拭されていない。

新内閣には、これらを重く受け止められ、この状況を打破するために、わが国の将来のあり方を明確化した「国家ビジョン」を国民に示す必要がある。

また、日々変化する経済社会状況等に対応するために、国民各界各層の意見に十分耳を傾けるとともに、柔軟かつ果敢な政策運営を期待する。

中小企業振興と地域経済の発展を最大の使命とする名古屋商工会議所としては新政権に対し、特に下記事項の実現について強く要望する。

Ⅰ.景気回復軌道の安定化と成長戦略の明示・実行
喫緊の課題は、景気回復の足取りを確固たるものにすることである。回復傾向がみられる景気を腰折れさせることないよう、適時適切な政策運営を行われたい。
併せて、その後の中長期的な国際競争力の抜本的強化を含む成長戦略を早期にとりまとめるとともに着実に実行して頂きたい。
Ⅱ.中小企業を核とした地域経済の活性策の実施
中小企業はわが国経済活力の基盤であり、雇用の受け皿を担うなど、地域活性化に果たす役割は極めて大きい。
依然として厳しい経営環境下にある中小企業者に事業意欲を失わせることなく、さらにはイノベーションなど挑戦意欲を抱かせる支援政策の拡充・強化を図られたい。
Ⅲ.安心・安全な国づくりと財政の健全化の実現
社会保障制度の早期確立をはじめ、雇用の安定、子育て支援、防災対策の充実など、国民に希望と安心を与える国づくりが必要である。
同時に、そうした社会が持続可能であることを国民に納得させるためにも財政健全化に向けた戦略の早期とりまとめ、提示が必要である。
安心・安全な国づくりには、「企業・経済の発展」と「国民生活・雇用の安定」が両輪の関係にあるとの基本認識のもとに政策運営に取り組まれたい。
Ⅳ.愛知・名古屋を拠点とした日本経済の再生ならびに環境意識・技術の向上
(1)愛知・名古屋を拠点とした日本経済の再生
愛知・名古屋では、わが国の強みであるモノづくり技術並びに産業の集積を活かし、航空宇宙産業、次世代自動車産業、メディカル・デバイス産業など、国際的成長分野である新産業の振興に産官学が取り組んでいるところである。
わが国経済の再生にはこれら世界に通用する当地域の強みを最大限に活かすことが重要であり、これを強力に支援されたい。
さらに、新産業振興にとって陸・海・空のインフラ整備は必須の条件であり、とりわけ「国際コンテナ戦略港湾」への伊勢湾(名古屋港・四日市港)の選定、及び航空ネットワークの維持・発展を強く要望する。
(2)COP10を活かした環境意識・技術の向上
本年10月開催の「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」は、里山や干潟保全に代表される自然環境保護活動や循環型社会構築に向けた環境技術を海外にアピールする絶好の機会である。COP10の成功に向けてホスト国としての万全の措置をお願いしたい。
さらには2005年の愛知万博開催前後から盛り上がってきた当地域の環境意識や環境技術について、一層の向上に取り組んでまいるので、これを支援されたい。

平成22年6月

名古屋商工会議所

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