2022年12月16日
今回の改正では、期限を迎える中小企業者等の法人税率の軽減措置や設備投資減税、研究開発税制などの租税特別措置が拡充・延長された。
中小企業はコロナ禍に加え、物価高にも直面する中、価格転嫁の遅れから収益圧迫に苦しむ、極めて厳しい経営環境下にある。限られた原資を賃上げや投資に振り向け、成長に向けた挑戦を後押しする税制措置として評価したい。
一方で、令和5年10月から始まる消費税インボイス制度については、一定の負担軽減措置が設けられたが、円滑な導入に向けた対策や準備は、いまだ十分とは言い難い。
今後も周知を徹底していただくとともに、免税事業者の取引への影響や負担増加の状況を注視の上、実態に沿った柔軟な実務運用や適切な支援をお願いしたい。
また防衛力の強化は重要であるが、その財源や内容について、国民的な議論がないまま、法人に偏った増税が決定されたことは違和感を感じる。中小企業への一定の配慮が講じられたが、ビジネス変革への投資や賃上げ意欲に水を差すことのないよう、施行時期などの詳細について、十分な議論をお願いしたい。
名古屋商工会議所
会頭 嶋尾 正