令和6年(2024年) 年頭所感



 明けましておめでとうございます。
 皆様には、令和6年の新春を健やかにお迎えのこととお喜び申し上げます。

 昨年は5月に新型コロナが5類に移行し、経済活動が本格的に再開され、当地域にも人や物の動きが戻って参りました。各種イベントも制限なく行なわれ、コロナ禍で大きな打撃を受けた宿泊業や娯楽業もコロナ前の水準に近づくなど、消費者のマインドも上向いてきました。
名古屋商工会議所 会頭 嶋尾 正 名古屋商工会議所 
会頭 嶋尾 正

当地の景況について

 一方で、ウクライナや中東情勢等により、世界経済の先行きへの不透明感が増す中で、中小企業を始め、多くの企業では物価高や深刻化する人手不足への対応などが課題となっており、円安による輸入物価の上昇も重なって、経営環境は一層厳しさを増しています。
 また、経済活動の本格回復に伴い、コロナ禍で打撃を受けたサービス業の景況感は改善していますが、昨今の人手不足で十分なサービスが提供できず、せっかくの需要を取りこぼしている状況にあります。さらには、今年4月には物流業界に働き方改革関連法の「時間外労働の上限規制」が適用され、輸送能力の不足が懸念されるなど、人手不足の問題は産業界全体で解消していかなければならない課題となっています。

勇気をもって経営の変革と挑戦の実行を

 このような先行きが見通せず変化の激しい時代だからこそ、私たち企業経営者が自らの努力と気概、知恵と工夫を発揮し、この難局に対処していくことが重要です。とりわけ意思決定の速さや変化への柔軟な対応が優れている中小企業こそ、そのメリットを活かし変革と挑戦の場を広げていけるものと思います。
 私たちは、世界中が新型コロナの脅威によって社会・経済活動が停滞するという未曽有の危機を乗り越えてきました。この経験を基に、地域経済を支える皆様には、臆することなく自ら変革への足掛かりとし、また新たなビジネスチャンスに対し果敢に挑戦していただくことで、これからの時代の飛躍に繋げてほしいと思っております。

取引価格適正化の推進

 現在、自社の製品・サービスに対して取引価格の適正化を行ない、経営の安定化を図るとともに、デジタル技術なども活用して生産性や付加価値の向上に取り組むことが求められています。
 挑戦や成長の原資を確保していただくために、中小企業の皆さんは勇気をもって自社の製品・サービスに対して取引価格の適正化に取り組んでください。商工会議所として「パートナーシップ構築宣言」の理解促進を通じて機運の醸成に努め、サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めていけるよう力を尽くして参ります。そして、経営指導員による巡回・窓口相談を軸にしながら、引き続き中小・小規模事業者に寄り添う「伴走型支援」に注力するとともに、金融・税務・法律・経営・労務など幅広い分野にわたる経営相談などの事業を実施しサポートいたします。          

中小企業への支援

 さらには、中小企業のデジタル化の推進について支援を加速して参ります。業務の省力化や業務プロセスの改善といった生産性の向上に加え、サービスの高付加価値化が期待されることから、経営資源が限られる中小企業こそメリットが享受できるものと思われます。「Pit-Nagoya」や「DX推進トライアル事業」などを通じて、IT利活用の可能性を感じてもらうデモ体験から実際の導入まで、企業の取り組み状況に応じたサポートを行ない、その知見やノウハウを紹介して参ります。
 また、コロナ禍によって取引先の減少でお悩みの企業や、時代に合わせた新商品・新サービスの開発・販売に挑戦する企業に対し、「メッセナゴヤ」や「売り込み!商談マーケット」などの開催により、ビジネスチャンスの拡大や人脈づくりの支援に注力するとともに、広く商業の振興に努めて参ります。

都市の魅力の向上と基盤強化

 今年3月にはジブリパークの全面オープンが控えており、当地への誘客の起爆剤として期待できます。今後、数年にわたり、ラグジュアリーホテルの開業が続くなど、リニア開業を見据え、多くの人に「行ってみたい」と思わせるような受け皿が整ってきています。
 こうした流れをチャンスと捉えて、さらなるインバウンドの呼び込みや中部国際空港の代替滑走路の早期整備、リニア中央新幹線の早期開業、名駅のスーパーターミナル化、高速道路を始めとする高規格道路の整備促進、名古屋港の機能強化などのインフラ整備、さらに東京一極集中の是正など関係機関との連携のもと推進して参ります。

むすび

 今年は干支でいうと「甲辰(きのえ・たつ)」の年です。この干支は「成功に繋がる芽がどんどん育っていく」という縁起の良さを表しています。
 皆様におかれましては、この変化の激しい環境の中でも、果敢に挑戦して、力強く前進できる一年にしていただきたいと思います。
 今年も会議所活動に対する一層のご理解とご支援をお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

2024年1月1日

以 上

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